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「いつまでたっても微塵も変化・成長できない人々」



この記事は、変化・成長できない人が、批判を上手に扱うマインドの使い方をすることで、どこまでも変化・成長できるようになる方法が書かれています

 いきなりでタイトルと矛盾するようですが、放っておいても人は変化します。なぜなら、人はそもそも流動的な存在だからです。特段の努力をしなくても、誰でも老化することを考えればうなずけるでしょう。ただし、成長となると話は別に思えてきます。そこには暗黙の前提として、「向かいたい方向へ進むような形で変化する」というニュアンスがあるからです。さて、いつまでたっても変化・成長できない人がいます。言い換えると、ただ自然の老化にまかせて、望む方向へと変化・成長できないということです。この記事では、そういった問題について考えていきましょう。

どうすれば望む方向へと上手に変化・成長できるかといえば、批判を素直に受け入れることです。ここでの批判とは、「提言」、「中傷」、「提案」、「示唆」、「小言」、「フィードバック」、「アドバイス」といったすべての表現を含むことにします。つまり、自分が良い方向へと変化していくために必要な外からやってきた情報すべてであり、その表現方式は問わないということです。この意味での批判を素直に受け入れ、新しい自分のあり方として取り込むことができるかぎりにおいて、人はどこまでも変化・成長していくことができます。なぜなら人は流動的な存在であり、そのことをルー・タイスが示した言葉で言い換えると「人間には無限の可能性がある」からです。

批判を素直に受け入れられない人は、現状のコンフォートゾーン(confort zone)にしがみつく人です。コンフォートゾーンとは、物理的・情報的な自分自身の安心できる領域のことです。たとえば、それは長い間住んだ家であり、あるいは慣れ親しんだ肩書き、あるいは自分はこういう人間だというセルフイメージ(self-image)などです。人間には無意識の内に、コンフォートゾーンを守り、そこに安住しようとする性質があります。このコンフォートゾーンをの性質を理解し、コンフォートゾーンを広げていくことが変化・成長そのものです。批判を素直に受け入れることができない人は、変化・成長していくために必要な新しい情報を自らコンフォートゾーンにしていくことよりも、過去から現在まで続いてきた自らのコンフォートゾーンを守ることの方が優先されてしまっている状態です。

批判を素直に受け入れられない人は、自分ではなく相手を変えようとします。 これは、コンフォートゾーンを維持しようとする無意識の働きです。例えば相手から何かしらの批判を受けたとします。そしてこれを素直に受け入れることができなかったとします。人間には、相矛盾する2つの情報を維持できないというマインドの働きがあります。批判を素直に受け入れて自分を変えることが出来ない以上、コンフォートゾーンを維持するためには相手の批判そのものを変えるしかなくなります。相手の批判に反発したり、聞こえないふりをしたり、ぐずぐず言い訳をして結局受け入れなかったり、相手の人格攻撃をはじめたりします。驚くべきことに、相手の批判を認知することすらできない場合もあります。いずれにせよ、自分ではなく批判や批判をした相手を変える(なかったことにする)ことで帳尻を合わせ、自らのコンフォートゾーンを維持しようとします。これではいつまでたっても変化・成長できません。やはり批判を素直に受け入れることが大切です

ただし、批判を受け入れることと自己評価を下げることを混同してはいけません。批判はあくまで自分が良い方向へ変化・成長していくために必要な新しい情報であり、その人の評価とはまったく無関係です。コーチングにおける自己評価の指標は2つあります。1つ目がエフィカシー(self-efficacy)であり、2つ目がセルフ・エスティーム(self-esteem)です。前者は「自己のゴール達成のための自己能力の自己評価」のことであり、後者は「自己の社会的立場、自己の価値に対する自己評価」のことです。いずれもマインド内部にある自己評価であり、ゴールを達成に欠かせないものです。たとえ批判をされたとしても、これらの評価は一切下げる必要はありません。


批判を素直に受け入れた上で、自己評価を下げないように注意しながら、生まれたエネルギーを良い方向へと向かうようにマネジメントする必要があります。
批判を受け入れるということは、それまでの自分と違った情報をマインドの中に取り込むということです。先述のように、マインドの中には相矛盾する2つ以上の情報を維持できないという働きがあります。そのため、それを解消しようとエネルギーが生まれます。そのエネルギーを、コンフォートゾーンを維持するためではなく、望ましい方向へ自分が変化・成長していくために使いましょう。これこそが、批判を「素直に」受け入れた状態です。

具体的には、批判に直面した際に、その批判に妥当性があると判断できたら、まずは一度自分の感情を脇において自分を観察しましょう。そして、「これで自分も良い方向へと変化・成長できる」と説明を与えていきましょう。一度自分の感情を脇に置いて自分を観察する作業を止観といいます。また、「これで自分も良い方向へと変化・成長できる」というような自分で自分に対して行う何らかの説明のことをセルフトーク(self-talk)と言います。このようなマインドの使い方を繰り返し繰り返し行なっていくうちにに、どんな批判も瞬時に自分に必要かそうでないか判別できるようになります。そして、意味のある批判をごく自然に自分の変化・成長のためのエネルギーに変換できるようになるでしょう。

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