「指導者から愛され、誰よりも早く深く学習する方法」


 

この記事では、早く深く学習しながら、しかも指導者から愛される人ががどのようにマインドを使っているかについての分析が書かれています。


同じ環境・指導者のもとでも、早く深く学習できる人とそうでない人がいます。
空海が唐に留学に行ったときの話です。師匠となる恵果は空海に合うやいなや「君が来るのを待っていた」と言い、その後、密教の奥義を空海に伝授します。恵果には1000人を超える弟子がいたそうです。その中には何十年も帰依していた人もいたでしょう。しかし空海はそういった人たちをぶち抜いて一気に一番弟子となります。そして恵果の期待通り、約半年という短期間に密教をものにしたそうです。その後日本に密教を持ち帰り、大活躍したのは周知のとおりです。さて、なぜ同じ環境・指導者のもとにいるにもかかわらず、こうも学習速度・深度に違いが起こるのか、コーチングの概念を用いて分析してみましょう。

まず、早く深く学習できない人の最たる悪癖は、自己責任(accountability)の意識がないことです。自己責任とは、自分で選択・決定し、結果に責任を取る態度です。人間は自分の能動的な決定に関する情報にRAS(reticular activating system)が開くように出来ています。RASとは重要な情報とそれ以外を選り分ける脳のフィルターシステムです。 目の前の環境に対して「自分はここから1つでも多くのことを学ぶのだ」とか、「眼の前のことはすべて自分の責任で扱い、結果に対して向かい合う」といった考えを持っていなければどうなるでしょうか。自分を成長させる重要な情報のほとんどすべてがRASにブロックされ、脳の中に入ってきません。せっかく指導者が伝えることも、右から左へと受け流してしまうだけです。こういう人はどんな環境でも早く深く学習できません。


さらに、早く深く学習できる人は、自己責任の意識を前提として指導者の抽象度で学ぶ意識があります
。RASが通過させるのは重要なものだけでした。もし、学ぶ際の抽象度(levels of abstraction、視点の高さのこと)が自分ではなく、指導者のそれだとしたらどうでしょうか。たとえば「自分がこの指導者であったらどう教えるか」「自分がこの指導者だったらどういう態度で学んでくれたら嬉しいか」「自分が別の人を指導するとしたらどう学べばいいか」という視点です。明らかにRASの働きが変わり、単なるいち学習者を遥かに超える情報が入ってきます。もちろん、実際には指導者ではないので想像で補うしかないところは多々あります。その際にはビジュアライゼーション(visualization)が有効です。ビジュアライゼーションとは、五感を含む情報全てを臨場感とともに想起するテクニックのことです。ビジュアライゼーションを用いて、指導者の持つ抽象度に対して責任意識を持つことで、誰よりも早く深く学ぶことができるようになります。


こういう人は指導者に的確な貢献できるので愛されます。そして上の人も目をかけて指導してくれるので、ますます学習が加速します。
指導者に対して貢献できるのはなぜでしょうか。常日頃から指導者の抽象度で学ぶことで、指導者が見ている世界が見えるようになってくるからです。その世界が見えるようになれば、自分にしかできない役割を自ら発見し、より的確な貢献ができます。これでは愛されないほうが難しいというものです。熱心に貢献しようとしても、自分の視点を出られなければ的はずれな振る舞いをしてしまい、かえって疎まれてしまいます。熱意が空回りしている、ありがた迷惑となってしまいます。上手に貢献できれば、愛され、重用され、さらには重要な役割を任されていきます。するとますます学習が加速していくのです。

本記事での主張の好例を最後に紹介しておきましょう。作家・海堂尊の筆による、伝記「外科医 須磨久善」からの引用です。須磨久善さんは日本初の心臓難手術「バチスタ手術」に挑んだことで有名な、天才心臓外科医です。まさに学ぶ才能があったからこそ、その地位まで上り詰めたと言えるでしょう。

(母校の大阪医大に務めることになった須磨さんは、並み居る人材の中でも次第に頭角を現してゆきます。そのコツを聞かれた須磨さんはこう答えます。)

(引用開始)
「役に立つ人間になることでしょうか(中略)」

「(そのための鍛錬として)まずはイメージを掴むこと、です。イメージを持てればいろいろなことが上手く回り始めます。たとえば手術見学ひとつとっても、外回りという雑用をしながら、手術メンバーと同じくらい勉強だってできる。その立場よりひとつ上、ふたつ上の場所からシュミレーションすればいい。助手の下っ端や第三助手として手術に入るなら、術者と同じ勉強をしておく。そうやって今のステージの一歩先、二歩先を歩けば、必ず有用な人間になれます。みなさんだって手伝いを頼む時には使い勝手のいい人を選ぶでしょう。有用な人間は先取的な努力をすることで作られていくんです」(引用終了)

海堂尊「外科医 須磨久善」より引用
(括弧書き、太線は本記事執筆者の手による)

 

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