以前、私が武術の身体運用について個人的に師事していた方がおっしゃったことが、いまでも印象に残っていて、よく思い返してそれについて考えることがあります。
「高嶋くんがやっているコーチングは、他人の心に関わる仕事だよね? 相手の心に関わって、相手の心が良い方向に変わるように働きかけるわけだ。それって目に見えないことだけど、やってることは外科医みたいなものだよね。別にメスを持っているわけではないけども」
「外科医になるのだって大学受験や医師国家試験を突破して、研修医になり、たくさんの臨床経験を積んではじめて一人前になるわけだ。そのくらいしないと病気の人のお腹を開いて手術なんてできない。コーチングでやっていることは目には見えないことだけど、似たようなものだよね。そのくらいのつもりで勉強しないとだめだよ」
私がやっているコーチングをある側面から表現したものとして、とても的確だなと思いますし、同時にあまり語られない側面でもあると思います。
人の心の深い部分に関わることをあまりにもイージーに捉えるとリスクがあります。
クライアントにとってはもちろんのことながら、コーチにとってもそうだと言えます。
さて、コーチを選ぶ際には、コーチの心についてよく考える必要があり、心とは何かについて考える必要があります。
この場合の心とは、科学的な意味合いとしての心だけではなく、倫理的な意味合いとしての心も含みます。
これらは、どのくらい学習を続けているか、どのくらい良い人か、こういう問いに置きかえることができます。