自信が持てなくて困っているという相談をよく受けます。
たしかに自信が持てないと、日常が苦しいものになります。
人と会うにもビクビクしてしまったり、やりたいことをするのにも躊躇してしまったり、劣等感にさいなまれた日々を送らざるをえないでしょう。
自信とは、自分を信じると書きます。
自分を信じられるかどうかは、自分をどのように評価するかで決まってきます。
自分を信じられるということは、自分のことを高く評価できているということです。
裏を返せば、自信がないとは自己評価が低いということになります。
そこで今回は、いかににして自己評価を高め、自信のない状態を脱却するかについて書いててみたいと思います。
自己評価とは何か
まずは自己評価とはいったい何かを説明したいと思います。
苫米地式コーチングでは、自己評価のことを「エフィカシー」と呼びます。
より厳密な定義では「ゴール達成のための自己の能力の自己評価」となります。
エフィカシーの実例
AさんとBさんという二人の人がいたとします。
彼らは会社の同期であり、共に将来を有望視されていました。
あるとき彼らの上司が、二人にあるプロジェクトを率いてリーダーとしての仕事をしてみないか、との打診をしました。
Aさんは「そんな責任重大な仕事は、とてもじゃないが自分には務まらない」と考え、依頼を断りました。
Bさんは「たしかに怖さは感じるが、きっと自分にはできるはずだ」と考え、依頼を引き受けました。
同じ状況にあっても、AさんとBさんでは心の動き方が180度違います。
BさんにあってAさんになかったもの、これこそがエフィカシーです。
自信を持つとどうなるか
さて、その後の彼らの人生はどのように進んでいくのでしょうか。
もちろんそれは誰にもわからないのですが、おそらく多くの人が、Bさんの方が自分らしく充実した人生を送っていくのだろう、と素直に感じられると思います。
だからこそ自信を持つ、自己評価をあげるということがみなさんの関心を引くテーマになるのだと思います。
では、次からは実際にエフィカシーの基本的な上げかたを紹介します。
エフィカシーの上げかた(基礎編)
1:ゴールを設定する
エフィカシーとは、「ゴールを達成するため自分の能力の自己評価」のことでした。
このことから、エフィカシーを上げるためには、前提として欠かすことのできないものがあることがわかります。
そう、ゴールです。
ゴールとはいわゆる目標のことであり、自分が心から達成したいもののことでした。
当然のことながらゴールがなければ、ゴールを達成する能力が自分にあるのかどうかは評価しようがありません。
評価することができないということは、評価を高めることもできません。
なのでエフィカシーを上げたい人、自信をつけたい人は、何にも先駆けてまずゴールを設定することからはじめましょう。
(*正しいゴール設定の方法に関してはこちらを参考にして下さい→「コーチング理論から考える正しい目標設定の方法」)
2:自分で勝手にエフィカシーを上げる
一般的な自信のつけ方の落とし穴
一般に自信といえば、親に褒められたり仕事で成果を上げたりといった成功体験によってつくられると思われているようです。
たしかにこれは、ある面においては事実と言えるでしょう。
成功体験によって自信をつけて、次の行動が生まれ、ますます成果を上げてゆくというサイクルはいかにもありそうな話です。
ですが、そもそも自信のない人はどうすればいいのでしょうか。
自信がないのだから行動につながらないし、当然成果もあがらない。
そうすると、いつまでたっても自信がつかないという堂々巡りに陥ってしまいます。
まさに富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる、の典型的な事態であるといえます。
ここではまず、エフィカシーという言葉の本来の意味をよく考え、発想を転換させてほしいと思います。
発想の転換
自己評価とは読んで字のごとく、自己で評価する指標のことです。
この意味を落ち着いてよくよく考えてみてください。
そこでわかってくるのは、自分の能力に対する自分の評価なのだから、他人をはじめとした外部からの根拠は一切関係がないという事実です。
つまり、自己評価とは、過去の成功体験も他人の評価もなにものにもよることなく、無根拠に下してしまって構わないということです。 強いて言えば、未来の大きなゴールを根拠にするくらいでしょうか。
自分にはこんなに大きなゴールがある、だからこそそのゴールを達成できる自分である、という具合です。
そもそもゴールを持たない人は、ゴールを達成する能力を持ちようがないわけですから、ゴールがあること自体を自己評価の根拠にすることは妥当なはずです。
とにかく、ゴールさえ設定されているのならば、一切の根拠なしに勝手にエフィカシーを上げて構わないわけです。
確信できない理由
ところが、多くの人にはこの部分がなかなかわからないようです。
自己の評価なのだから、好きなように自分であげればよいだけの話なのですが、どうしてもそこに抵抗を感じてしまうようです。
何かしらの成果なり評価なりといった根拠がなければ、自分はゴールを達成する能力があるのだと確信することは許されない、と。
これはおそらく、他人から評価されることで何かを決めるという思考に慣れすぎているせいだと思います。
わたしたちの多くは成長する過程の中で、社会の側からあらかじめ枠組みを与えられ、その中でどれだけ結果を出せるかこそ重要なのだという価値観を刷り込まれてきました。
だから、自分の価値は自分で決めてよいのだということを心の底から納得することができないのです。
エフィカシーは自分で上げるべきもの
エフィカシーはどんなものにも関係なく、自分が自由に設定してもよいのです。 誰に何の許可を取る必要もありません。
巨大なゴールを持つみなさんは、それが達成できるという確信をいまこの瞬間から持ってよいのです。
それこそがエフィカシーであり、ほんとうの自信なのです。
まとめ
この記事ではエフィカシーの定義を説明し、エフィカシーを上げていくための基礎的な考え方を説明しました。
エフィカシーとは、ゴール達成のための自分の能力の自己評価のことであり、ゴールのあるみなさんは無条件に上げてよい、という内容でした。
とはいうものの、そう簡単に心からゴール達成を確信できるのだろうか、そう思われる方もいらっしゃることでしょう。
次回の発展編ではそんな方のために、より具体的で実践的なエフィカシーの上げ方を紹介したいと思います。
「自分に自信が持てない人のための処方箋(発展編1)」
参考にしていただけると幸いです。