今年も終わりに近づいていますが、目標設定の正しい方法を学びましょう。少し理論的で硬い内容ですが、この先、何十年間も使える知識です。
目標のことをコーチングでは「ゴール」と呼びます。以下、ゴールの扱い方について、ゴールの設定・達成・更新という観点と、個人・組織という観点から整理してみましょう。
まず、ゴールの設定の仕方には、3つのルールがあります。1:大きなゴールを設定する、2:心から達成したいものを設定する、3:各方面にバランス良く設定する、というものです。
大きなゴールを設定するとは、現状のあり方を大きく変えなければ達成できないような内容のものです。もしこういったゴールを設定しなければ、現状の最適化しか行われず、今の状態にますますとらわれてしまう可能性があるからです。心から達成したいものを設定する理由は、そうでなければ人間は内側からモチベーションが湧いてこないからです。各方面にバランスよく設定する理由は、そのほうが無意識を活性化し、結果的に各ゴールを達成しやすいからです。
次に、ゴールが近づいてきたときの話をしましょう。ゴールが近づいてくると、エネルギーや創造性が失われます。なぜなら、現状とゴールとのギャップこそが私たちの心のなかにエネルギーと創造性を生み、それを上手に使うことでゴールへと近づくというメカニズムがあるからです。ゴールに近づいてしまえば、エネルギーや創造性を生み出す必要がないというわけです。ですので、ゴールが近づいてきたなと感じたら、すかさずさらに遠くのゴールを設定する必要があります。これをゴールの更新と言います。ゴールの更新を絶え間なく行うことで、永続的にエネルギーと創造性を生み出し続けることができます。
ところで、今まで考えてきたゴールの扱い方は個人の場合として説明しました。それでは、個人が複数集まった組織のゴールはどうでしょうか。まずは組織にも個人と同様のゴールの扱い方が適応されると考えて下さい。つまり、大きなゴール、心から達成したいもの、各方面にまんべんなく設定し、更新し続けるということです。
組織のゴールが見えたら、次は組織と構成員(組織のメンバー)とのゴールの関係性についてです。もし、構成員のゴールがいっさいその組織で達成されないとしたら、構成員はその組織にいたいと思いません。それでもその組織を抜けられないとしたら、反応は2つです。その組織のゴール達成を邪魔するか、構成員が病んでしまうかです。いずれにせよよくありません。ですので、組織のゴール(の少なくともひとつ)と構成員のゴール(の少なくともひとつ)が共有される必要があります。そうすることで、その組織のゴールを達成することが、その構成員にとっても自分のゴールを達成することの助けになります。もちろん実際にはこんなにシンプルな話ではありませんが、理屈としてはこのように考えます。
さて、最後にゴールの達成です。コーチングを説明する際に、コーチングとはゴールを達成するためのものです、と表現する場合があります。しかし、実際にはゴールの達成についてはあまり考えません。なぜでしょうか。コーチングを正しく運用するならば、ゴールは達成する前に更新されるはずだからです。つまり、ゴールを達成する頃には次のゴールのことを考えているということです。よって正しいゴールの達成は「より大きなゴールを目指し続けていたら、以前のゴールは気がつけば達成していた」という状態です。これは個人でも組織でも同様です。