心の健康診断という考え方を導入してみましょう。
まず大前提として、心には実態がありません。それゆえ、「本当の自分」や「真実の自分」などもありません。もちろん「前世から連綿と続く使命」なんかもありません。マイストーリーとして採用するのは面白いですが、最先端の科学的知見に基づくと、そういったものはないと言うことができます。いずれにせよ「心」は実在として存在しないのです。
でも、心という機能はありますね。外から入ってきた情報に対して、どのような反応をするか決定するためのシステムがあります。その機能を心と呼んでいます。さらに、その機能は刻一刻と変化する動的なものです。ですからやはり、実体としての固定的な「心」は存在しませんね。だから「ありのままの自分」といったものありません。「ありのままの自分」は一瞬後には別の人です。
では、その心が健康であるということはどういう状態でしょうか。機能不全を起こしていないという状態ですね。生体を維持するために調子よく心が働いていれば健康ということになりますし、生体を維持できない方向へ進んでいるようであれば、それは機能不全を起こしていると判断できます。具体的には、やる気が出ない、楽しくない、苦しい、体が重い、何もかも嫌だ、なんてことになっていると、それは心が機能不全を起こしていると考えられます。心というシステムは動いているのだけど、正しくかつ良い方向へ進めるように動いていないということです。
また、人間はただ生きていればいいというものではありません。つまり、より楽しく幸福になりたいという欲望を抱えてしまったということです。ですから、ただ生きるために心が機能しているだけでは不満足なわけです。そこで、ワクワクして、幸福で、楽しく、喜びにあふれた状態を求めます。一瞬一瞬がこういう状態であれば、それは理想的な形で心が機能しているかもしれません。ただし「ワクワクした振り」ではありませんよ。あくまで自然に内側から湧いてくる良い感情であるということです。
今までお話したような視点があれば、心の健康診断という考え方をなんとなくイメージできたのではないでしょうか。でも、もしかしたらイメージできないという方もいらっしゃるかもしれません。まあ、それはそれで、ゆっくり理解すればいいでしょう。ところで、カンの良い方は「じゃあどうやったら心は健康になるんだ??」と感じられたかもしれません。それについては「コーチングを受けて下さい」という答えが一番ふさわしいのですが(笑)、まあそれもなんなので、いずれどこかで書くことにしましょう。
それでは。