モチベーション(motivation)の話をしましょう。
モチベーションとは、行動の源泉となるものに名付けられた名前です。
ルー・タイス(lou tice)は、モチベーションには2種類あると言いました。
すなわち、建設的モチベーション (constructive motivation)と制限的モチベーション(restrictive motivation)です。
前者は、「〜したい」「〜が好きだ」「〜を選ぶ」というポジティブな気持ちに基づいてなされる行為のモチベーションに対して名付けられたものです。。
それに対して後者は、「〜しなくてはならない。さもなくば‥‥」「〜してはならない。もししたなら‥‥」というネガティヴな気持ちに基づいてなされる行為のモチベーションに対して名付けられたものです。
ルー・タイスは、すべての行動の源は建設的なモチベーションに基づくものでなければならないと考えました。
制限的モチベーションは、その人の自尊心(self-esteem)を削り取り、自らの力で立ち上がり、選択し、行動するという人間に自然に備わっている力を損なわせる、極めて破壊的なものだからです。
制限的なモチベーションに基づいてしか行動をとれない人の多くは、親からそのようにしつけられたようです。
「〜をしなさい。さもないとひどい目に会うぞ」
「〜をしてはならない。もししたなら、こんなひどい目にあわせてやる」
このようなタイプのコミュニケーションを繰り返し刷り込まれることで、その人は大人になっても、同様のフレームでしか物事を考えることができなくなってしまいます。
端的に言えば、これらは恐怖に基づく脅しです。
建設的なモチベーションを引き出すスキルがないものだから、安直な方法として、恐怖を利用した制限的モチベーションで子供を管理しようとするのです。
このような事態は、親子関係に限りません。
メディア、上司、教師、社会、あるいは常識といった、ありとあらゆる情報が、我々を制限的モチベーションの枠組みにはめるような働きかけをしてきます。
大人であっても、継続的に外界からこのような刷り込みがなされるのです。
このような事態に対して、自分の身は自分で守るという意識を持つべきでしょう。
私たちにとっての希望は、正しいモチベーションとは何かについて考えぬいた先人の功績があるという事実です。
そして、正しいモチベーションを獲得するための方法論も残されています。
まずは、その第一歩として、自分の行動の源泉が、建設的モチベーションに基づくものか、それとも、制限的モチベーションに基づくものか、観察してみるといいでしょう。