教育コーチング

教育のプロが教える、子離れできない親がコーチングを学ぶべき理由


我が子の成長を見守るのは、親に与えられた何よりの特権です。

我が子が昨日までできなかったことができるようになる、そんなときは子育てをしてよかったと心から感じられる瞬間なのではないでしょうか。

その一方で、こうやって子供が成長してけば、いつかは自分の手元を離れていくのだと考えて寂しい気持ちが湧いてくることもあるでしょう。

これは極めて自然な感情であるといえます。

しかし、その気持ちが行き過ぎれば、俗に言う「子離れできない親」になってしまいます。

この記事では、子離れができなくなる理由、そしてどうすれば子離れができるようになるのかを、コーチングの理論を通してお伝えします。  

コーチの語源

「コーチ」という言葉は、ハンガリーの四輪馬車「コチ」に由来します。

19世紀のイギリスで、家庭教師(チューター)を目的地まで引っ張ってくれる存在としてコーチと呼び始めたのがはじめだとされています。

そしてその後、指導者一般のことをコーチと呼ぶようになりました。  

コーチの役割とは

現代におけるコーチの役割は、「クライアントのゴールの発見を促し、ゴールを達成できるマインドを作る」ということです。

一般にコーチといえば、たとえばサッカーや水泳のコーチなどと言うように、具体的な技術を教える人だというイメージがあります。

しかし、コーチングにおけるコーチはそういった人たちとは役割がまったく違うのです。

クライアントが自分自身でゴールを設定し、ゴールが達成できるような心と体の状態を作ることがコーチの役割であり、具体的な技術を与える存在ではないのです。

もちろんときには、ゴール達成に必要なマインドの使い方を教えることはあります。 ですがそれは、サッカーや水泳の技術を教えることとはイメージがずいぶん違って見えるはずです。

ちなみに、サッカーや水泳などの具体的な技術を教える人は「インストラクター」と呼ぶ方がふさわしいでしょう。
 

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コーチングの原則

コーチングを行う際に守らなければならないプリンシプルはたくさんあります。

その中でも、我々コーチが最も重視するプリンシプルは「コーチはクライアントのゴールを評価しない」というものです。

コーチはクライアント掲げたゴールを、良いとも悪いとも評価してはならないのです。  

コーチがクライアントのゴールを評価しない理由

なぜコーチがクライアントのゴールを評価してはならないのでしょうか。

クライアント本人ではないコーチが、クライアントが心から達成したいと思うゴールをわかるわけがないからです。

何かを心からやりたいと思う状態のことを、コーチング用語で「want to」であるといいます。

一方、ほんとうはやりたくないが、やらなくてはならないという状態を「have to」であるといいます。

コーチがクライアントのゴールを評価するということは、クライアントを have to のゴールへと誘導してしまうリスクがあります。

ほんとうはそこまでやりたくないのだが、コーチがそういうのなら正しいのかなという具合です。

あるいは、ほんとうはこれがやりたいのだけど、コーチがよくないというからやめようかな、ということもありえます。

これならばコーチングを受けない方がよかったということにもなりかねません。 だからこそ、クライアントのゴールをコーチが良い悪いと評価することはご法度なのです。

 
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子離れできない親

ところで、子離れできない親とはどのような親のことをいうのでしょうか。

それは、子供の主体性を尊重できない親です。

つまり、子供が自分で want to のゴールを決め、判断し、行動するという一連の動作を認めてあげることができず、管理してしまう親のことです。

もちろん、子供の年齢によっては、すべてを独力でやりとげるには難しいという場合もあります。

その場合には、親が最低限の手助けをしてあげればよいでしょう。

子離れできない親とは、そういった最低限の手助けを超えてまで干渉し、管理しようとする親のことをそう呼ぶのです。  

子離れできないことがよくない理由

なぜ子離れできないことが問題かといえば、結果的に子供が不幸になるからです。

ここで言う子供の不幸とは、子供が自らの人生を独力で切り開くことができなくなってしまうことです。

自らの人生を主体的に生きることができないことほど不幸せで寂しいことはないでしょう。

親が子離れできないことで、子供は主体的な人生を送る能力を育てる機会を失ってしまいます。

その結果、want to のゴールを設定して達成していくような、主体的な人生を子供が送りづらくなるということです。  

親が子離れできない理由

親が子離れできない理由にはいくか考えられますが、最も大きな理由は、「親が自分のゴールを持っていない」ということでしょう。

親自身が主体的な自分のゴールを持っていなくて、その欠落を埋めるために、無意識に子供に自分のゴールを達成させようとするのです。

結果として、あれこれと子供のゴールに口を出してしまいます。

コーチングに置き換えて考えてみてください。 そのコーチにはゴールがなく、ゴール達成もしていません。

ところが、あなたのゴールを良い悪いと言ったり、ゴールを達成出来ているかを監視するようなことばかりしています。 あなたはその人のコーチングに心からの信頼を置きますか?
 

親が子離れするための方法

親の子離れとは、子供のゴールを尊重してあげることです。 他人のゴールを尊重してあげられる人とはどのような人でしょうか。

それは、自身が want to のゴールを持ち、それを目指すような生き方をしている人です。

もし親が want to のゴールを持っていれば、自分にもゴールがあるのと同様にこの子にも心から望むゴールがあるのだ、と認めてあげることができるようになります。

そうなることができたならば、子離れもスムーズになり、子供は主体的な人生を送れるように育ってくれるはずです。  


《ゴール設定に関する詳しい方法に関してはこちらの記事を参考にして下さい→「コーチング理論から考える正しい目標設定の方法」
 

まとめ

子離れできない親がコーチングを学ぶ意味はふたつあります。

ひとつは、子供のゴールを良い悪いと評価することは子供にとってマイナスであると理解し、子供のほんとうのゴールを発見する手伝いをするべきだと認識できるようになります。

つまり、親が子供のコーチになってあげられるようになるということです。

もうひとつは、親自身がゴールを設定し、それを達成するような生き方ができるようになります。

これは親が自分で自分をコーチングできるようになるということです。

いずれも子離れすることの助けとなるはずです。

参考にしていただけると幸いです。

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