先日、「信じる」ということについて書きました。
信じるものは救われない
そのさらに先の内容について書きましょう。
自分が強く信じていることを信念と呼びます。そして人は信念に基いて判断をくだし、行動をとります。たとえば、自分はいつも失敗ばかりだという信念を持っていた人がいます。そういう人は何かチャンスがやってきたとき、よしやってみようと行動をとるでしょうか。たぶん言い訳をして行動しないはずです。このように、信念はその人の判断や行動を決めてしまいます。しかもそれは無意識のレベルで行われます。今持っている信念を変えないままだと、その人はその信念が許容する以上のレベルの人生をおくることができません。
ところで、私の友人に役者をやっている男がいます。彼と会って話をしていると、いつも元気が出てきます。なぜかというと、彼は自分が役者をやっていることに誇りを持ち、目標を立て、目標に向けて自分はもっと成長できると信じているからです。
役者の世界もなかなか大変なようです。若い役者の多くは、養成所に通って演技のトレーニングを積みます。そのため、安くはないお金を用意する必要があります。しかし、お金を稼ごうと思うと、今度はトレーニングをする時間がなくなるそうです。あちらをたてればこちらが立たずですね。もちろんわたしは、どちらも満たすうまいやり方があるのではと考えていますが。
養成所から見れば、将来性のある若手の役者とそうでない役者はわかるそうです。しかし、養成所に入りたいという役者が将来性が見出しにくいからと行って断ることはあまりないようです。なぜならビジネスとしては儲かるからです。では、その将来性を少しでも引き出すようなノウハウが養成所にあるのかといえば、多くの場合そうではないということです。将来性とは、コーチングの言葉で言うと、ゴール設定、エフィカシーやセルフエスティームの向上といった、「現時点でマインドを上手に使えているのかどうかのこと」のように聞こえます。しかし、そういった観点から育てる体系化されたノウハウは私たちコーチ以外は持っていません。だから、そういったことは役者の自助努力に任されてしまいます。なかなか大変ですね。若手役者にもコーチングを提供していきたいと思っています。
さて、友人の役者は、とても良い信念を持っています。冒頭にあげたように、望ましくない信念はその人の可能性を制限してしまいますが、一方で可能性を無限に引き出す信念も存在します。それは「ものごとを良い方向へ変化する。そしてそのための力を自分は持っている」というものです。彼はそのような信念を持っているからこそ、役者としてどんどんと成長しています。そんな彼が友人であることを私は誇らしく思うので、応援したいと思います。こういった応援が増えれば、彼はますます活躍します。すべては彼の信念が生み出した縁起です。
自分の信念をチェックしましょう。そして必要があれば変えましょう。それが人生を変えることそのものです。