コーチングの基本

「問題とその解決について人はどう向かい合うべきか」


 

この記事では、問題を発見しその解決方法を見つけるというプロセス、またそのプロセスにどう向かい合うかについて書かれています。


世の中にはたくさんの問題が溢れていますが、その問題には必ず解決策があります。必ず解決策があるのです。少なくとも私の実践するコーチングでは、そういう立場をとります。さて、問題に解決策は必ずあるとしても、問題や解決策に対しどのような態度をとるかは人によって様々です。せっかくであれば、問題がひとつでも解決し、より良い世の中になっていってほしいものです。理想的な形で問題を解決する状態に至るには、マインドにおける幾つかの段階があることを知るとよいでしょう。この記事ではそれらを順番に確認してみることにします。

1つめは、問題があるのに発見できないという段階です。世の中にはたくさんの問題があります。常により良い世の中が想定できる以上、同時に常にその達成のために解決すべき問題があると言えるからです。しかし、そもそもその問題が発見できないという段階があります。人間にはスコトマ(scotoma)があります。スコトマとは認知的な盲点のことで、要するに認識できないものです。スコトマを外すには、ゴール(goal)を設定し、RAS(Reticular Activating System)の働きを変える必要があります。RASには重要なものだけを認識し、そうでないものはスコトマにするという働きがあります。より良い世の中の実現をゴールとして世の中を眺めることで、RASの働きが変わり、世の中には解決すべき沢山の問題があるという認識が生まれます。

2つめは、問題は発見できるが、発見しただけの段階です。より良い世の中になることを願っていて、問題が発見できたとします。たとえばそれは、政治について、教育について、はたまた家庭についてといったこともあるでしょう。いずれにせよ、潜在的にかもしれませんが「もっと良い状態があるはずだ」という信念があるからこそ、RASの働きが変わり、スコトマが外れ、問題が見えている状態です。ところが、問題を発見しただけで終わってしまうという段階があります。問題は見えた、でも結局変わらないんだろうなという諦めの状態です。また、問題を発見したことをあげつらうだけの場合も同様です。「これが問題だ!」と騒ぐだけで、その先が何もない状態です。人間は生得的にテレオロジカル(teleological)です。テレオロジカルとは目的に向かって進むという人間のマインドの性質です。コーチング的に言えば、強い映像に向かって進むということです。問題を発見したものの、問題をただ認識しただけの段階だと、かえってその問題を強める方向へと行動をしてしまうのが人間なのです。これには注意が必要です。

3つめは、問題を発見し、その解決策をも発見するものの、自らは行動しない段階です。より良い世の中というゴールを維持し、RASの働きが変わり、問題を発見したとします。そしてその問題を一つ上の抽象度(levels of abstraction)から観察することで、問題の解決策も発見することができます。ただし、解決策を見つけただけで自分では何もしないという人がいます。「こうすればいい、こうすれば一発で解決だ」と言うものの、そのために必要な具体的かつ地道な行動を自分はやりたくないというわけです。結果として自分以外の人に解決策を主張し、やらせようとします。もちろん、自分以外の人を上手に動かすことで、問題が解決する場合もあるでしょう。しかし、解決策を声高に主張するだけでは、なかなか人もついてこず、スムーズに問題が解決とはなりにくいようです。

4つめは、問題を発見し、解決策を見つけ、さらにその解決のために自らできることを考えて行動する段階です。先程のパラグラフでは、問題と解決策を見つけるに留まる段階の説明をしました。その次の段階としては、解決のために自らできることを探し、自らが先陣を切って行動するというものです。マインドの話で言えば、問題の発見、解決策の発見、問題の解決までの一連のフローを自己責任(accountability)で捉えるということです。物事に対して自己責任の意識が無ければ、それは自分とは関係のないこととして処理されます。RASが情報をブロックしてしまうのです。せっかく解決策までみつけても、実際に問題を解決するところまで自分の責任の範疇だという意識があればこそ、解決策を具体的にどう現実の中に適応していくかというアイデアがうまれてきます。そして解決を進めながら、さらに新しい情報に触れ、そのアイデアをどんどんとアップデートすることができます。そういう人だからこそ、当然他の人もついていきたくなるので、協力者も現れ、やがて問題は解決されていきます。  

ルー・タイスは「better world better you」という言葉を残してくれました。私の解釈ですが、より良い世の中をつくるには、よりよい自分を作りましょうということだと感じます。問題に対して、その解決までが自分の問題であるという責任意識のもと、つねに「どのような自分であればこの問題を解決できるのだろうか」と自問し続けるあり方をルー・タイスは推奨しているのでしょう。より良い世の中を創るために自分を変化・成長させ続けた、ルー・タイスの言葉をもう一つ紹介して本稿を締めたいと思います。

All meaningful, lasting  growth and change starts first on the inside and then works its way out.

すべての永続的かつ意味のある変化 ・成長は、内に始まり外へと広がる

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